日本語と英語のギャップ 映画で学ぶCワードとFワードについて

Fuxk You!!!

プロフィールにも書いてありますが、私は大学院まで
英文学を専攻していました。
とはいっても文学のテーマ論なんかは極論すると
原文ではなく翻訳を読んでもかけてしまうので、
あんまり英語は得意じゃないです。

それでも、長年にわたってある程度は英語に触れてきましたし
いまでも、仕事で英語はときおり使います。（これについては以前書きました）

今回は、映画でこの言葉が出てくるとR指定やPG指定をくらってしまう
英語の汚い言葉について書いてみます。

全国ネットで使っても大丈夫な汚い言葉

"shit" "damn it"

どちらも日本語に訳すと「クソ！」「畜生！」
という意味になる言葉です。

"shit"は本来の語義では
「大便」
という意味です。

まさにそのまんま「クソ」という意味ですね。
ここは日本語と一緒です。

また「クソ」を意味する言葉でもう少し弱いニュアンスの
"crap"
という言葉がありますが、これまた用法はほぼ"shit"
と同じです。

"damn"は本来の意味がいかにも欧米的です。
これは正式には「天罰が下る」という神学用語で
英語が本来はヨーロッパはイングランドを発祥とする「イングランド語」
であり、その根本にはキリスト教思想があること思わせ、いかにも欧米的な言葉です。

また、"bull-shit"というと
「くだらない」
という吐き捨てるような意味になります。

すいません。間違い発見。"shit"は放送不適切用語です。

同じく
「なんてこった！」という意味になる
"Jesus Christ！"(イエス様)
もキリスト教的、欧米的な発想ですね。

"screw you" "go to hell"

あまり出てきませんがどちらも
「くたばれ」
という意味です。

後者は直訳すると「地獄に行け」
いかにも宗教的です。

また"hell"は言葉の間に挟むことで意味を強める言葉でもあります
"What the hell are you talking about?"
は
「ああ！？何言ってやがんだ！？」
ってなニュアンスになります。

以前、アメリカ人のお客さんが一緒に仕事した中国人にこれを言ってて
怖かったです。



映画でもよく出てくるフレーズですね。

"bitch" "son of a bitch"

直訳すると「雌犬」「尻軽女」を意味する
"bitch"
はかなり多義的な言葉です。

この言葉は本来の語義から転じて
「クソ女」という意味でつかわれますが
もっと多義的に「性悪」という意味で
男性にも使われることがあります。

"son of a bitch"はまんま訳すと
「尻軽女の息子」ですが
「このクソ野郎」って意味になります。

"bitch"は「いい女」の意味で
使われることもありますが、やはり
性差別的なニュアンスがあるのでよろしい言葉ではありません。

"chick" "bird"
も同じようなニュアンスで、
これまた性差別的ニュアンスがあります。

"bastard"
これもやはり
「クソ野郎」
という意味です。


本来の語義は
「私生児」
語源は中世のラテン語だそうで
結婚が神聖な神の御前での契約と
考えられていたころの名残でしょうね。

タランティーノ監督の
"inglorious basterds"(注・わざとスペルを間違えてます)

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は「不名誉なならず者たち」という意味
になります

"ass"

本来の意味は
「ケツ（尻）」
という意味です。

"hip"よりもだいぶ下品なニュアンスの言葉で
「お尻」とかいう風に訳すより
「ケツ」と訳した方がいいと思います。

これはかなり多義的な言葉で
本来の語義のほかに
「アホ」
という意味があります。

また"kiss my ass"は直訳すると
「ケツにキスしな」ですが、
実際には「ほざけ」みたいなニュアンスで使います。

実は肯定的な俗語表現で使われることもあり

アメコミ映画のタイトルにもなった
"kick-ass"


には「すごく（いい）」
といういいことを強調する意味があります。

例えば、
"That car is a kick-ass car"
というと
「あの車すごくかっこいい」
って意味になります。

"kick ass"は語順を間違えると危険な言葉であり
"I will kick your ass"
というとこれは
「ぶっとばすぞ」
という意味になってしまいます。

また、"～'s ass"には
"～self"
の意味があり

"That guy saved my ass"
というと
「やつに助けられた」
という意味になります。

また
"asshole"は
直訳すると「ケツの穴」ですが

これも
「アホ」という意味になります。

『ボラット　栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』

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では
「ウンコタレ」
と訳されていました。

これに限らず
『ボラット』は
全体的に字幕翻訳のセンスが
ナイスでした。


さて、ここまでいろんな卑俗表現を
思いつくまま挙げてみましたが
英語には汚い言葉がまだまだあります。

そしてこれから挙げる放送禁止レベルの言葉は
実は日本語には相当する言葉がありません。

こういう言葉を挙げてみると、
日本語がいかに優しい言葉であるかよくわかります。

"pussy"

出ました。汚い言葉の代表格。
あえて訳しますが、ストレートに
「マ○コ」（女性器）
という意味です。

"pussy"はストレートに
「マ○コ」という意味があるほか
「子猫ちゃん」というような、女性をバカにした感じの
ニュアンスもありまして、これをフェミニストに向かって
言ったりすると、大変なことになります。

映画『ボラット　栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』
で、サッシャ・バロン・コーエンが扮したボラットが
ニューヨークのフェミニズム団体のまえで
"Smile, pussy cat"（笑えよ、子猫ちゃん）と言っていましたが
この知識を前提で見ると、これがいかに勇気ある行為であったかがわかると思います。


ガチガチのフェミニストのオバハンたちの怒りの表情が面白かったです。

"prick" "dick"

放送禁止用語だったかどうかちょっと定かでないですが
どちらも
「チ○コ」
という意味です。

英語には男性器を意味する卑俗語が非常に多く
"johnson" "member" "one" "cock" "knob" "private"
など、ぱっと思いつくだけでもこれだけあります。
試しに類語辞典を引いてみたところ
何十という数の類語が出てきました。

詳しく知りたい方は、確か
『オースティン・パワーズ：デラックス』に
男性器の意味を持つ言葉が大量に出てくるシーンがあったので
ご参照ください。

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さて、前置きが長くなりましたが
"prick"にも"dick"にも俗語的に共通の意味があります
「アホ」
という意味です。

例えば、"you prick"というと
「このアホ」
という意味になりますし、
"you dick"といっても同じような意味になります。

また、"cock"から派生した言葉に
"cocksucker"というのがあります
"sucker"は直訳すると「吸う人」
という意味になりますが、
これに"cock"が組み合わさると
「フェ○チオ（するヤツ）」
という意味になります。


だいたいにおいて訳すときは
「クソ野郎」という感じになるのですが
より下品なニュアンスを出すために
本来の語義を含めた訳し方をすることもあります。

ちなみに『フルメタル・ジャケット』では
「このおフェ○豚め！」
と訳されていました。

かなり苦しい訳ですね。


映画『フルメタル・ジャケット』より
下品なことを言いまくるハートマン軍曹（R・リー・アーメイ）
大好きな場面です。


名作ミステリー『ユージュアル・サスペクツ』では
面通しされた容疑者たちが変わりばんこに
"I need your car, you fucking cocksucker"
というシーンがありましたが、ここでは
「車をよこせ、このチ○ポ野郎」
と訳されていました。

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また、"suck"は
「くだらない、ひどい」という意味でも使われます。

"It sucks"
というと
「くだらん」「ああ、クソッ！」
という感じの意味になります。
よく出てくる表現ですね。

"fuck"
さて、だんだん危険な方向に向かってきました。
汚い英単語の定番、放送禁止の「Fワード」です。

この"fuck"という言葉
本来の語義は
「挿入する」という意味で
まんま性行為を意味する卑俗語です。
女性器の意味もあり
「マ○コ」という意味でも使われます。

侮蔑表現の定番であり
そのままで
「クソ！」「畜生！」
という意味もあれば

ご存じのとおり
"Fuck You!"
で
「くたばれ」
の意味もあります。

他の言葉を強める意味もあり
"You fucking son of a bitch"
というと
「このクソ野郎」を意味する
"son of a bitch"をさらに強めることになります。

ですが、"fuck"は非常に多義的な意味を持つ言葉でもあり
いい意味でも使われることがありますし、普通の
会話に何気なく挿入されることもあります。

たとえば、意外な表現だと
"I'm just fucking with you"
で
「ちょっとからかっただけだよ」「冗談だよ」
という意味になります。

かなり汚い言葉なのでニュアンス的には
「馬鹿にした」感じが強いのかと思っていたのですが
どうやらそれだけではないようで、
ふつうに「冗談だよ」の意味もあるようです。
もちろん"fuck"自体がきわめて下品な言葉なので
あまり公衆の面前で使うにはよろしくないですが。

ちなみにこのイディオムですが
映画『キック・アス』で
撮影当時11歳だった子役のクロエ・モレッツちゃんが
ニコラス・ケイジ演じるパパに向かって言っていたので
かなりびっくりしました。
もっともそのあとに、クロエちゃんはもっと汚い言葉を使っていたのですが（後述します）


件のシーン。こんなにキュートなクロエちゃんが・・・

あと、私が知る限りでの意外な表現ですが
"fuck up"で
「しくじる」
という意味があるようです。

これに関しては、イギリス映画『ラブ・アクチュアリー』
での、ヒュー・グラント演じる首相と新人首相官邸スタッフの
初めて会う場面がわかりやすい例だと思います。
インテリ監督リチャード・カーティスの得意技で、
"fuck"が知的でセンスフルなジョークになっています。

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さて、この"fuck"という言葉ですが
用法はまだまだあります。

それは「何気につかわれる」というものです。

これはアメリカ留学した人から聞いた話ですが
"Hey guy, fuck up"と言われてびくっとしたけど
これはただ単に「おい、起きろ」
という意味だったらしいです。

"It's fucking good"というと
これは「すげえいい」
という意味ですし、実は"fuck"というのは
非常に汎用性の高い言葉であるのです。

この言葉を大量に使うかどうかは、結構育ちが関係ある気がします。
以前に、ある外資企業に派遣されて仕事をしたことがあるのですが
そこの社員が英米豪日の連合軍で、8割がたが英語圏の出身者で
しかも大半の社員が高卒のたたきあげでした

私の英語力は大したことはないので、彼らが何を言っているか
よくわかりませんでしたが、とりあえずものすごい勢いで
"fuck"を連発していたのはわかりました。
しかも笑いながら言っていたので怒っていたわけではないはずです。

一方、私が以前イギリスに行った時のことです。
夜に、オックスフォード大学の寮でオックスフォードの学生と
イングランド代表対北部アイルランド代表のサッカー（イギリス風にいうとフットボール）
の試合をテレビで見ました。

イングランド人というのはサッカーの母国という自負があるため、
サッカーの試合になると、すごい勢いでヒートアップします。

しかし、それでも"fuck"という単語は一度たりとも出ませんでした。
せいぜい"Jesus Christ"までです。
さすがは世界の最高学府の学生。英語がお上品ですね。

ちなみにFワードの歴史を紐解いたこんなドキュメンタリーがあります。

FUCK [DVD] (2008/04/25) アラニス・モリセット、チャックD 他 商品詳細を見る

また、"fuck"から派生した黒人特有のスラングに
"motherfucker"
というのがありますが
これはまんま
「母親とヤるヤツ」
という意味です。

これはただの汚い言葉と思いきや
黒人差別という悲しい歴史が反映された言葉であり
「黒人は差別されてるから母親ぐらいしか相手をしてくれない」
ということから生まれた言葉らしいです。

意味はちょっと正確には把握できてません。
"motherfucker"について知りたければ
『パルプ・フィクション』の

パルプ・フィクション [DVD] (2003/12/05) ブルース・ウィリス、ジョン・トラボルタ 他 商品詳細を見る

サミュエル・L・ジャクソンの登場シーンを見てもらうのが
一番いいと思います。
サミュエル叔父貴が"motherfucker"のすべてを語ってくれます。


Samuel L Jackson=Mother Fucking cool!!!

また、これは放送禁止用語ではなく、イギリス英語独特の俗語表現ですが、
"bloody"という言葉があります。

直訳は「血まみれ」ですが、"very"と同じような意味があり、後ろの言葉を強調する形容詞として使われます。
たとえば、”You bloody fool.”
なんていうと「このクソバカ野郎」みたいなニュアンスになります。
ちなみに、"bloody"も悪いものだけでなく、いいものを強調するときにも使われます。


"cunt"
私が知る限り、英語で最も汚い言葉です。

直接の意味はやはり女性器をさす
「マ○コ」
なのですが、これが日本語と英語のギャップで
同じく女性器を意味する卑猥語の
"pussy"や"fuck"よりもさらに下品なニュアンスがあります。
そして、"fuck"や"cunt"はあまりにも下品すぎるため
日本語には相当する言葉がありません。

例えば、名作サイコ・サスペンス
『羊たちの沈黙』に
"I can smell your cunt."
というセリフがありました

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字幕では「アソコが匂うぞ」
という程度の訳になっていましたが、
本当はこんなもんじゃありません。
訳しようがないので、訳しませんが。

また、"cunt"には
「クソ野郎」
という意味もありまして、
これは"fuck you"なんかよりもさらに
危険な言葉です。

相手が
"You fucking cunt!"
なんて言っていたら、これは相当嫌われているか
相当怒っているかのどちらかだと思われます。

それだけに前述の『キック・アス』で
子役のクロエ・モレッツちゃんが
"Okay you cunts. Let's see what you can do now"

というセリフを言っていて衝撃でした。
字幕では
「この腐れマ○コども」
と訳されていました。
いい訳ですね。


何度も言いますがこんなキュートなクロエちゃんが…

そういえば、性格が悪いことで有名な
スカーレット・ヨハンソンが
"cunt"といわれていました。
すごく性格が悪いという噂は本当のようです。


ビッチ系のスカ子さん。本当に性格悪いらしいです。

今回は以上です。
汚い言葉ばかり使ってごめんなさい。
最初に書いてある通り、英語はあんまり得意じゃないので
間違いがあったらどうぞご指摘をください
(色々ご指摘を頂いたので一部追加修正しました)